“武装”永世中立国スイスに学ぶ、隣国の侵略の手口と対処法:「民間防衛ーあらゆる危険から身をまもる」 原書房編集部

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「民間防衛」とは、冷戦時にスイス政府が国民に配布した「あらゆる危機から身を守る」ためのマニュアルです。2003年に原書房から新装版が出版されています。人口が800万人弱(大阪府と同じくらい)のスイスは、中世には屈強な傭兵の輸出国、今では永世中立国として知られています。しかし、憲法9条のような何かで永世中立を保っているわけではありません。EUにもNATOにも加盟せず、国民皆兵(男性だけ。女性は任意)で国を守っています。

敵国にとってスイスを侵略することによって得られる利益よりも、スイス軍の抵抗や国際社会からの制裁によって生じる損失の方が大きくなる状況を作り出すことによって、国際紛争を未然に防ぐ戦略をスイスはとっています。もし仮に侵略された場合は、焦土作戦を辞さない確固たる覚悟がスイスにはあります。大砲を備えたトーチカが国土のいたる所ににあり、さらに地下要塞、あるいは核シェルター、備蓄物資、銃の貸与など様々なハード面の防備が整っているのです。

「民間防衛」、国民の防衛に対する意識、いわばソフト面の防衛機構ともう言うべきハンドブックです。つまり、自国の平和は自国民で守るというごく自然な考え方に基づいたマニュアル本です。簡易平明な文章ながらその内容は多岐にわたり、核爆発の際に発生する放射線や熱線を避けるためのノウハウまで書かれております。これがあれば、東日本大震災の福島原発事故の際にもきっと事態の理解に役立ったはずでしょう(関連記事:科学的リテラシーを身に着け、ゼロリスク思考から離れよう:『原発「危険神話」の崩壊』池田信夫、PHP新書)。

孫子の兵法には「百戦百勝は善の善なる者に非ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」、要するに「戦わずして勝つ」という言葉があります。「民間防衛」にも、「戦争のもう1つの様相」としてそうした手法が紹介されています。敵国がスイスに対して武力を使わずに侵略してしまう手順が書かれており、そうならないようにスイス国民に強く注意喚起しています。その手順とは以下の6段階です。

第1段階:工作員を「政府中枢」に送り込む→第2段階:メディアを掌握して大衆の意識を操作する→第3段階:教育現場に入り込み、国民の「国家意識」を破壊する→第4段階:抵抗意思を徐々に破壊し、「平和」や「人類愛」をプロパガンダに利用する→第5段階:テレビなど宣伝メディアを利用し、「自分で考える力」を国民から奪う→最終段階:民衆が無抵抗で腑抜けになった時、大量植民で国を乗っ取る

さて、日本はどの段階でしょうか?日本が真に平和を希求するのならば、米軍に頼るだけではなく、自らを守れなくては立ち行かないでしょう。「孫子」「六韜三略」「尉繚子」「兵法三十六計」などの数多の兵法書と謀略家を生んだ大国を隣国に持つ以上、「民間防衛」は読んで損はない一冊です。

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この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

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