どうして自分はこんなに意志が弱いんだろう……と思っている人へ。実はあなたが悪いんじゃないんです!:「WILLPOWER 意志力の科学」ロイ・バウマイスター、インターシフト

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純粋に本能に従う動物とは異なり、人間には本能と同時に「意志力」と呼ばれる力を持ちます。自らの思考と行動をコントロールする意志の力は、著者のロイ・バウマイスター(フロリダ州立大学・社会心理学部の教授)によると、意志力は科学的に証明された力で、筋肉と同じように使いすぎると消耗してしまうため、何かを我慢したりプレッシャーを感じたりすると、全く別の行動にも影響を及ぼしてしまいます。ただし、意志力は回復させることもできるし、鍛えることもできます。本書を通じて、意志力の仕組みと活用のコツを知ることで、人生を意志力でプラスの方向に動かしましょう!

意志力をコントロールするにあたっては、意志力の2つの特徴を認識しておく必要があります。1つ目は、意志力の量には限りがあり、それは使うことで消耗すること。2つ目は、すべての種類の行動に用いられる意志力の出所は1つです。その時々の行動目標は絞り込むのが無難と言えるでしょう。

意志力の量には限りがあり、それは使うことで消耗するとすれば、回復するにはどうしたらいいでしょうか?その答えは、グルコース(ブドウ糖)の摂取です。グルコースと自己コントロールとの間に関連があるとわかったのは、低血糖症患者についての研究がきっかけでした。低血糖症の患者は普通の人よりも集中するのが苦手で、腹を立てたときにマイナスの感情を制御するのが下手だったのです。研究の結果、自己コントロールを発揮してグルコースを消費すると、体は甘いものを強く欲するようです。ただし、体がエネルギーを最も手っ取り早く手に入れる方法として甘いものを強く欲したからといって、甘い「麻薬」ばかり食べていていいわけではありません。糖分の少ない高タンパクの食品やその他の栄養のある食品も、甘いものよりも効果が出るのに時間がかかるかもしれないが、甘いものと同じように体内でグルコースに変化します。バランスが重要です。

砂糖と同じく、白いパンやジャガイモや白米といった炭水化物やスナック菓子、ファストフードは短時間でグルコースに変化します。しかし、これらの食べ物を食べると血中のグルコース濃度が急激に上下動し、結局はグルコースが不足して自己コントロール能力が低い状態になってしまいます。自己コントロール能力を一定に保つには、野菜、ナッツ類、生の果物、チーズ、魚、肉などGI値が低い(短時間でグルコースに変化しない)食べ物を選んで食べるほうがよい。

すべての種類の行動に用いられる意志力の出所は1つという点も興味深いです。ダイエット中の若い女性に映画を見せ、そのあいだすぐ手が届くところにチョコレートを置いた場合と、部屋の向こう側に置いた場合でどのような違いがあるかを実験した。すると、すぐ手が届くところにチョコレートがある女性の方が意志力を消耗していたことが明らかになりました。この場合、意志力を消耗してしまったことで、あとで他の食べ物を食べ過ぎる可能性が高い。すなわち、もしあなたがダイエット中で自己コントロール能力を失いたくないなら、チョコレートのすぐそばで長時間過ごさないことです。単に、ダイエットをするには、鍵になる行動、この場合はお菓子を見えない場所にしまっておくなどの行動に意志力を配分するべきでしょう。

そもそもこの問題を避ける方法もあります。それは、ダイエットをしないことです。ダイエットをしていない人は、お菓子の隣に座っていても意志力を使いません。ダイエットをしてしまうからこそ、意志力を消耗し、食べるのをコントロールするという難題に直面してしまうのです。この誘惑に抵抗し続けるためには意志力を補給しなくてはならないですが、そのためにはグルコースを身体に程よく与える必要があります。ダイエットをしている人は栄養摂取のジレンマに陥ってしまうわけです。逆説的ですが、ダイエット成功にはダイエットをしないことが重要なのです。幸福とは幸福のことを考えないでいられる状態に通じるかもしれませんね。

本書は意志力の強化について様々な分析をしていますが、誰にでも出来るカンタンな方法は「気づいたら背筋を伸ばすようにする」です。こんな実験があります。大学生に自己コントロールの基準値を測るテストを受けてもらい、意志力を消耗するような簡単なテストをして、どのくらい意志力が減退したかを調べました。その後、グループ別に何らかのエクササイズを2週間行い、その後また前と同じテストを行いました。行ったエクササイズは「気づいたら背筋を伸ばすようにする」「食べたものをすべて記録する」「前向きな気分やプラスの感情を保つようにする」です。学生は3つのエクササイズごとのグループに分けられ、結果を見ると、テストの成績が上がったのは「気づいたら背筋を伸ばすようにする」「食べたものをすべて記録する」のグループでした。特に「気づいたら背筋を伸ばすようにする」の成績が最も向上しました。意志力が向上した学生は以前ほど意志力を速く消耗することはなく、そのため他の作業もできるスタミナが残っていたのです。

以上で、意志力の仕組みと鍛え方について、本書の一部を紹介しました。結局のところ、どんなに優秀な人でも我慢などからくる意思決定エネルギーを使いすぎて神経をすり減らしていくと、最終的に自制が効かなくなり欲求に流されてしまう以上、「自己コントロール力=意志力」をどう配分・効率化するかが決め手になります。したがって、欲求に抵抗している時間を減らすことが重要です。たとえば、先延ばしをやめて未来の時間に頼らず、少しずつでも前に進めていくために計画をたて実行すること、また他者と状況を共有し合うことによる抑止力を利用するなどの方法も活用し、自己コントロールをするのが工夫です。また、自分の中の良い習慣が多ければ多いほど、意志力を無駄に使うことが少なくなります。なるべくシンプルに意志を使うことがよりよい幸せにつながっていくのです。ロイ・バウマイスターの主張を一言で要約すれば、「意志力=筋肉説(意志力は筋肉のように疲労し、また鍛えることもできる)」です。心の筋肉ともいうべき意志力は、トレーニングも回復のための栄養も必要です。意志力の配分とメンテナンスによって、人生のクオリティを上げていきましょう!

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この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

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