トランプ大統領と食生活・ファストフード

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トランプ米大統領といえば不動産王であり、さぞかし美食家なのだろうと思いきや、実はその食生活は実にアメリカンなものである。

19年1月、大学フットボールのチャンピオンになったノースカロライナのクレムゾン・タイガース(Clemson Tigers)の選手たちが、ホワイトハウスに招待された。この時、国境の壁予算を巡る民主党との攻防で、政府機関が閉鎖中という事情もあり、トランプ大統領はポケットマネーから大量のファストフードでもてなした(画像はWSJより)。

17年11月の来日時には、安倍晋三首相はゴルフ場での昼食において、東京・芝公園から徒歩5分に店を構える「マンチズ バーガー シャック」製のハンバーガーを用意し、もてなした。

しかし、むしろ高級なハンバーガーよりも、実際のところマクドナルドのハンバーガーでもトランプ大統領は十分に喜んだかもしれないし、そのうえで、貿易協議を見越して米国製の牛肉やオレンジを大量に購入している実績があるとアピールする布石にもなっただろう。

17/12/27付のbiz-journalは、ニューヨーク・タイムズによると、トランプ大統領は大好物のダイエット・コークを1日12本のペースで飲んでいると引用。さらに、昨年の大統領選挙でトランプ陣営の選挙対策本部長を務めた人物の著書によれば、トランプ大統領はマクドナルドでビッグマック2個、フィレオフィッシュ2個、チョコレートのミルクシェイクを注文するのが定番だったとか。そのため、マクドナルドでの食事1回で、ほぼ1日分のカロリーと塩分を摂取するばかりか、飽和脂肪酸は1日の限度量のほぼ2倍、糖分は2.5倍を摂取する計算になるという。

コーラについては、かの大富豪ウォーレン・バフェットも大好きだが、トランプ大統領はというとダイエットコーク12本とは尋常ではない。この報道は流石に大げさとは思うが、日常的に愛飲していることは確かなようだ。保守寄りの高級経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューでは「パウエルFRB議長は利上げを楽しんでいるようだ」、「私にとってFRBは最大のリスクだ。金利はあまりに速く引き上げられていると思う」など度々不満を露わにした。こうした発言の後に、「トランプ氏はこう言うと机の上の赤いボタンを押し、冷えたコーラを持ってくるよう求めた」とWSJ誌は伝えており、インタビュー中でもトランプ節の合間にマイペースにコーラを愛飲する様子がうかがい知れる。

また、Business insider japanの記事によると、トランプ大統領はホワイトハウスではウェルダンのステーキやカニ、エビ、時にはサラダや野菜を、よく焼いたレッド・ミート(牛や羊の肉)と一緒に食べることを好む、とAxiosは報じている。身長192cm、体重107kgのトランプ大統領のBMIは29.5であり、明らかに「太りすぎ」の分類に入る(以前の報道では体重は121kgだった)そうだ。

ステーキにケチャップをつけて食べることでも有名である。変わった食べ方ではあるがそれは個人の嗜好の話だ。とはいえ、外交先でも土地の食べ物ではなくステーキを所望するのは、外交儀礼上いかがなものか。もちろん、そんなものお構いなしなのが、トランプ流ではあるが。

自身でも「トランプ・ステークス」の運営に乗り出したが、現在は規模を縮小しているという。また、ステーキにはワインということで、トランプ大統領の次男は「トランプ・ワイナリー」を経営している。ちなみに、Bloombergによると19/2/4のトランプ大統領とパウエルFRB議長の会談は、ステーキを食べながらの夕食会だったという。

さて、ある意味でアメリカ人の食生活の一端を示すトランプ大統領だが、2020年10月2日にメラニア婦人ともどもコロナウイルス陽性と診断された。すでに、イギリスのボリス・ジョンソン首相やブラジルのボルソナロ大統領がかかっていたこともあり、驚き自体は限られたが、大統領選の帰趨がさらに不確定な要素が増えてしまったことは確かだ。容態は今のところ軽いようではあるが、上述の食生活を考えると心配である。

ちなみに、米疾病対策センター(CDC)の調査によると、米国の肥満率が過去最悪を更新、「標準」が少数派になってしまった。1999~2000年には30.5%だった割合は、2015~2016年には過去最悪の水準をさらに更新し、39.6%に達した。新型コロナウイルス感染症は、高齢者に加え、基礎疾患(心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患)を持つ人が重症化しやすい。日本など東アジア人と、欧米人とで新型コロナウイルスの感染者・死者数が段違いなのは、免疫や衛生習慣の差もあるのかもしれないが、肥満率も無視できない差なのもしれない。

日本においても肉の消費量は拡大の一途をたどっているように、アジア全体で食の欧米化が進んでいる。それは企業にとってはビジネスチャンスでもあるが、一方で個人の健康は「食べるものの選択」「量の調整」は自分自身でマネジメントしなくてはならない。ちきりん氏が指摘するとおり、「何をどう食べて生きていく」かを考える必要がある。「体は剣で出来ている」をもじるなら、「体は食事で出来ている」のだから。

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この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

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