人生の二毛作を考える時!:「未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる」ちきりん 、文藝春秋

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最初から最後まで全力で走るフルマラソン。仕事とはそういうものだと考えていた私に、「未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる」は、面白い考え方の提案をしてきました。すなわち、「40代を境にして職業生活をふたつに分け、前半と後半で異なる働き方をしてみてはどうでしょうか?」というものです。たしかに、自分の人生=収束先と捉えて22歳で人生が決まってしまうと考えるより、40歳を迎えるときに「次はどんな人生を生きようかな」と想いを馳せながら仕事に向き合っていくほうが、健全な考え方のように見えます。

T革命、グローバリゼーション、人生の長期化という3つの大きな変化を考慮した仕事への向き合い方を、現役世代はまさに考えるときです。人生の長期化は大きな論点で、仕事人生のキャリアは人によっては70歳、あるいはそれ以上に長期化することでしょう。一つの会社で定年まで働き続けるのが当たり前というわけではありません。だとすれば、40代を境にして職業生活を二分割し、職業も二回選び、前半と後半で異なる働き方をすると考えるキャリアプランは一つの考え方として面白いですね。筆者は5つのスタイルを提示しています。

  • 40代でいったん仕事を辞め、何年か自分のやりたいことを思い切りやってから仕事を再開する「休憩型」、
  • 40代で仕事を辞めたあと、モーレツに働く時期と、少しだけ働く時期や完全オフの期間をとり混ぜる「後半間欠泉型」
  • 40代以降は働く時間を控える「プチ引退型」
  • 40代で仕事を辞め、若い頃の夢にチャレンジしたり、「あるべき業界の姿」実現のために起業する「独立フリーランス型」
  • 前半は専業主婦(主夫)として家事・育児などに専念し、後半は仕事に専念する「専業主婦(主夫)→ビジネス型」

こうした発想の転換だけではなく、本書には他にもポイントが満載です。たとえば、大事なのは「資格の有無」ではなく「市場のニーズの有無」であり、需要が圧倒的に大きな市場で手に職をつけるべきというのは、実に本質的な指摘です。また、今までは一生懸命働きたくさん稼いで豊かな生活を目指すことが常識でしたが、これからは必要生活費をできるだけ抑え、働く期間を最短化するという逆転の発想で人生を設計することも、ひとつの選択肢だという主張も説得力があります。さらに、「働くこと」と「生きる意味」を切り離し、仕事からは生活費とスキルだけを得て、仲間や社会からの承認や生き甲斐に関してはボランティアや趣味のコミュニティから得ようと考えるのも、物事の峻別という点で非常に重要な整理の仕方だと思います。

足元のコロナ禍で在宅時間が増えるなか、人生における仕事の意味を見つめ直すには良い機会でもあります。ちきりんさんの本は、考える材料をふんだんに与えてくれる良著が多く、手に取る価値があります。さて、人生を二毛作として考える時、あなたにはどんな未来の働き方が見えてきますか?

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この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

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