働き方の未来を見つめ直す1冊!:「ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図」リンダ・グラットン 、プレジデント社

  • URLをコピーしました!

ウィズ・コロナ、アフター・コロナの時代、社会のあり方や働き方について大きく考えるには、「ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図」がうってつけです。テクノロジーの進化、グローバル化の進展、人口構造の変化と長寿化、社会の変化、エネルギー・環境問題の深刻化の5つの要因から未来の働き方は大きく変化するというのが本書の大きな主張です。2012年に書かれた本なので、グローバル化の進展については米中の覇権争いの構図のなかで変質している点を考慮しておくといいでしょう。とはいえ、その他の4つが重要であることにもいささかの変化もありません。

五つの要因から描かれる悲観的なシナリオでは、いつも時間に追われ続け、孤独にさいなまれ、繁栄から締め出される「漫然と迎える未来」となります。一方で、五つの要因から描かれる好ましいシナリオでは、未来の働き方はコ・クリエーションが行われ、積極的に社会と関わり、ミニ起業家が活躍する「主体的に築く未来」となります。そのうえで、明るい未来を築くためには、ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ、孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ、大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ、という三つのシフトを行う必要があると筆者は説きます。

このうち特に重要と感じたのは、ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へという部分です。単なるゼネラリストではなく、代替されない技能を持つならば、常に社会に対して価値を生み続けることで、会社に依存するリスクを回避できるわけです。では、高い価値を持つ技能とは何でしょうか?それは3つの特徴があります。第1に、その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること。第2に、その技能の持ち主の希少性が高いこと。第3に、その技能の模倣が困難であり、機械によっても代用されにくいことです。

「仕事の最大の目的はお金を稼ぐこと、人生の目的はそのお金で消費すること」という発想から脱却せよと筆者は説きますが、お金なくしてはこの発想から脱却できないのも事実です。明るい未来を切り開くためには、これまでの固定観念、知識、技能、固定パターン、慣習などを根本からシフトする必要がありますが、要は柔軟にしなやかに生きる心構えを持つことが、まずは出来ることだと考えました。働き方を見つめ直すための思考実験を本書と対話しながら行うことで、柔軟な気構えと考え方が身につく1冊です。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

あなたの家族や友達にも教えてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

目次