要約エッセンスでストレスを味方につけよう!:「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」ケリー・マクゴニガル、大和書房

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バトル漫画で、強敵が味方になったら頼もしい限りですよね。それと同じく、ストレスも味方につけてしまえば怖いものなしです。「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」は「ストレス」の正しい捉え方、付き合い方を丁寧に解説しています。ストレス=悪という単純な理解から離れて、ストレスとどう付き合っていくか前向きに受け止めてみましょう。きっとあなたの人生は良い方向に変わるはずです。要約エッセンスでどのようにストレスを味方につけるかを解説していきます。

目次

ストレスは敵じゃない、味方だ!

まず、ストレス=悪、敵ではなく味方なのだという点から説明します。実は、強いストレスの有無だけでは死亡リスクに影響はありませんが、ストレスを受け、さらに「ストレスは健康に悪い」と考えていると死亡リスクが高まるのです。したがって、ストレスとの受け止め方を変える必要があります。ストレス反応には、よく知られている「闘争・逃走反応」の他にも、「チャレンジ反応」「思いやり・絆反応」もあり、ストレスホルモンの分泌量が多い方がむしろパフォーマンスは上がることさえあるだそうです。しかも、ストレスの効果に自覚的な方が、ストレスの効果を利用しやすいため、どう活用化するかも重要です。「ストレスを受け入れることが正しいストレスマネジメントである」という筆者の考えは受け入れて見る価値がありそうですね。

健康に役立つストレスの役割

体の仕組みからも、ストレスは重要な役割を担っています。ストレスを感じた際に分泌されるホルモンとして、コルチゾールとデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)があります。コルチゾールは代謝を助け、ストレス負荷がかかっているときにはあまり重要でない、消化や生殖などの生物的機能を抑える働きを持っています。一方でDHEAは脳の成長を助ける男性ホルモンで、治癒力と免疫機能を高める働きを持つ(略)双方とも重要なホルモンだが、長期的なストレスに対してはDHEAの割合が高い方が、ストレスに関するさまざまなリスクが減ったのだそうです。

ちなみに、コルチゾールに対するDHEAの割合は、ストレス反応の「成長指数」と呼ばれており、成長指数が高いほど、ストレスに負けずに対応できるようになるそうです。ストレス度指数の高い国ほど繁栄度も高い、という調査もあります。この調査によると、大きなストレスを感じながらも、精神的に落ち込んでいない人の幸福度が最も高いのだそうです。別の調査では、ストレスを感じた経験の多い人ほど、人生に大きな意義を感じていることが明らかにされています。人々がストレス源である仕事、育児、人間関係、介護、健康問題はストレスも大きいですが、しっかり向き合えばむしろやりがいをもたらすことも多いのです。さらに、生きがいのある人生を送っていると答えた人たちは(そうでない人よりも)死亡率が30%も低かったという研究もあります。以上の様々な研究結果を踏まえると、ストレス源と生きがいが重なっている場合、ストレスは健康を害するのではなく、むしろ健康に役に立つと考えられます。

要するに、ストレスそのものではなく、ストレスをどう捉えているかが健康状態を左右します。たとえば「年齢を重ねることをポジティブに考えている人は、ネガティブに考えている人よりも長生きする」、「他人を信用できると考えている人は、信用できないと考えている人よりも長生きする」といったことが様々な研究で示されています。また、ストレスに関して、目標の持ち方についても、面白い研究結果があります。ミシガン大学の心理学者ジェニファー・クロッカーは、「自分のための目標」を持つことと「自分よりも大きな目標」を持つことの違いについて、文化が異なるアメリカと日本で研究を行いました。その結果、「自分よりも大きな目標」とつながっているほうが、精神的に安定することがわかったのです。目標の持ち方が感情に与える影響は、時間とともに増大します。そのため「自分のための目標」を追求している人は、やがてうつ病になる可能性が高く、一方で「自分よりも大きな目標」を目指している人は、人生に対する満足度も高かったのです。意外なことですが、。

逆境は成長のチャンス!


逆境は成長をもたらすチャンスです。「成長思考」とは、ストレスが多いときでも「人間には成長する能力が備わっている」と思える前向きな考え方です。このしなやかな態度が、逆境による苦しみやストレスを、意義のあるものに変換する力を生み出すのです。

ニューヨーク州立大学バッファロー校の心理学者マーク・D・シーリー氏は、逆境が及ぼす長期的な影響を調べるため、参加者が過去に経験したトラウマ体験の数とその後4年間の健康状態の関係を探りました。結果は、グラフにするとU字型の曲線としてあらわれました。つまり最も健康上のリスクが低かったのは、逆境を経験した数が中程度の人たちでした。その一方で、逆境を経験した数が最も少なかった人たちと、最も多かった人たちは、いずれもうつ状態にある傾向があり、人生に対する満足度も低かったのです。さらに追跡調査を行ったところ、新たな逆境を経験したとき、過去に多くの逆境を経験した人のほうが、逆境の経験が少ない人に比べて、うつ状態になりにくいことがわかりました。つまり、過去のつらい経験が自分を助けてくれると言えるわけです。

「宝石はこすらなければ磨かれることはない。人も同様に試練がなければ完成されないのである」「困難は精神を鍛え、労働は身体を鍛える」「金は火によりて試され、勇者は逆境にて試さる」と古代ローマの政治家・ストア哲学者セネカは言います。逆境、困難、試練から生じるストレスに向き合い、成長の糧とすることで、人は磨かれていくのです。「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」はまさに文字通りに、ストレスに強くなるための「エクササイズ」が、本書ではいくつも紹介しており、実践に繋がる本です。さあ、あなたも今日からストレスを味方につけましょう。

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この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

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