こんな悩みをお持ちの方へ。相手にきちんと伝わるように話せない。文章を読んでも、素早く的確にその内容が捉えられない。分かりやすい文章が書けない。質問に対して的確に答えられない。議論をしていても話があちこちに飛んで進まない。言われたことに納得できないのだけれどうまく反論できない……けど、大丈夫です。そうした悩みを認識しているということは、「国語力」の大切さに思いを馳せているということです。悩みの解消には、「大人のための国語ゼミ」を読むことが、回答になります。
個人が仕事以外にもSNSなどで文章を発信する時代、国語力は実は重要な能力として再認識する必要があります。しかも、真偽不明の情報が、テレビ、新聞、ネット・SNSで流れているなか、情報の妥当性を峻別する能力はとても重要性を増しています。「大人のための国語ゼミ」は論理学の大家が、易しく意見の主張と情報の読み解き方を解説してくれる1冊です。野矢茂樹教授と言えば、『論理トレーニング』『論理トレーニング101題』、岩波文庫のウィトゲンシュタイン「論理哲学論考」の翻訳などで知られていますね。本書は3つの目的で書かれました。第1にいまさら日本語を学ぶ必要なんかないと考えている人たちを振り返らせるため、第2に国語力を鍛える手助けのため、第3に楽しんで読めるようになるためです。詳しくは直接お読みいただくとして、「国語力」の基礎・本質のうち、最低限抑えるべき5つのポイントだけでも、お持ち帰りください。
「国語力」最低限抑えるべき5つのポイントとは?
・事実、推測、意見は区別する必要がある。
・事実は多面的であり、単一的認識で安定している訳ではない。
・根拠とは主張を支える杖。相手との間で事実と認められた主張は、根拠という杖なしで独り立ちできる。
・一方、推測や意見には根拠が求められる。
・根拠のない推測は憶測であり、根拠のない意見は独断である
これだけ?と思われるかもしれませんが、普段この5つのポイントのうちどれだけ実践できているでしょうか。たとえば、メディアは以上の5つのポイントをしっかり抑えて真摯な報道をしているでしょうか?そう、考えると意外とどれも重要に思えてきますね。
「相手のことを考える」、「事実なのか考えなのか」、「言いたいことを整理する」、「きちんとつなげる」、「文章の幹を捉える」、「そう主張する根拠は何か」、「的確な質問をする」、「反論する」。様々な国語力の基礎を練習問題形式で読み進めていくうちに、自然な形で「国語力」が身につくようにできています。国語を勉強するのは学生だけでなく、大人になっても必要です。いや、家庭、仕事、趣味……など多方面で、大人だからこそ重要です。「わかりあおうとする努力、それを支えるのが、言葉の力である」と野矢教授は述べていますが、相互理解の後退、分断の時代、今こそ「国語力」のブラッシュアップに取り組むときです!