心配性のあなたが前向きになれる理由は、心配そのものにあるとしたらどうでしょうか?なぜなら、心配は前向きな気持の表れだからです。『「心配する」という行動は裏を返せば、「幸せになりたい」「平穏な暮らしを楽しみたい」「トラブルやアクシデントを乗り越えて成功したい」といった前向きな気持ちの表れでもある。』と斎藤 茂太氏は述べています。心配を再解釈することで、心配ぐせをなくすのではなく、適度に直せば、人生は前に進んでいきます。
心配自体は誰でもすることです。『作家のマーク・トウェインは、こんなことを言っている。「私は人生の苦難を味わってきたが、実際に起きたのはほんのすこしだった」 この言葉は、人がいかに実際に起こった苦難よりも、「先に予想される苦難を心配して日々を過ごしているか」を示唆するものである。 と同時に、「悪いことを予測して心配する」という心配ぐせは、人としていかんともしがたい「性(さが)」と見ることもできる。』しかし、心配は人間の進化の過程で必要な癖なのです。目の前の見えることばかり考えていたのでは、生き残れません。
もし仮に、あなたの会社の社長があまりにも極端な楽天家で、心配することを知らなかったらどうなるかはおわかりですよね? 「社長というのは、『問題だらけの会社だ。直さにゃいかん』と心配し、その心配と戦いながら、会社を立派にしていく。社長こそ、心配するのが仕事だ」と著者が言う通り、心配ぐせなくしては社長も務まらないのです。大量の心配事のうえに企業経営や経済活動は成り立っており、あなたの豊かな暮らしを支えているのです。
要するに、心配は前に進むために必要なステップです。『心配するような結果にならないために努力する、という行動に反映されたり、憂慮すべき事態に陥った場合の善後策を練る用心深い行動につながったりする。つまり、心配性であることは、「幸せを得るためのエネルギー」にもなりうるのだ。』と筆者が力強く主張するとおり、心配をすることで前に進むエネルギーが生まれ、危機を乗り越えるきっかけを得ることが出来るのです。「心配した通りに物事が運ばないように、不安材料を努力目標として掲げる」ことを自発的にできれば、後は行動に移すだけ。大げさに言ってしまえば、心配とは、幸せの前段階なのです。
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