「ラッセルと20世紀の名文に学ぶ英文味読の真相39」は、ノーベル文学賞受賞(1950年度)哲学者のバートランド・ラッセルを中心に、サマセット・モームなど20世紀のよりすぐりの文章39ピースを題材としています。英文としての構造のみならず、知的示唆と含蓄に読む内容までじっくり味わって読むためことで、骨太の読解力が身につくことでしょう。文章と和訳、語注に加えて、一文ごとにあらためて英文・和文を別に掲載した上で、文章の構造分解がなされている点は親切です。
「英文標準問題精講」をよりとっつきやすくした感じの本書ですが、なかなか歯ごたえがあります。素早くかつ正確に英文を読むには、やはり文構造をしっかり捉える力というのは重要だと実感します。著者の佐藤ヒロシ氏は早稲田大学教育学部英語英文学科卒。代々木ゼミナール英語科講師として、大学受験科、東大クラス・早大クラスを中心に「英語精選構文」や「英文法」や「早大英語」などを担当しており、上位国公立・早慶等難関私大クラスの英文読解力を会得するのにふさわしい、歯ごたえのある英語読本と言えるでしょう。
つまり、本書はいわばマラソンで言うところの高地トレーニングです。折り目正しい文体で、展開・構成が論理的なラッセルの文章を味わって読むことで、節や句、省略が多い難解な文章を読み解くための基礎が身につきます。難解な文章が読めれば、平易な文章はより早く正確に読めます。TOEICや英字新聞、難関大学入試問題いずれにも対応できる読解力がつくし、そのことはより英語を楽しんで読むことにつながるでしょう。
使い方としては、単に精読するだけではなく、音読も良いでしょう。文の構造を捉えながら、英語を英語のまま理解する力を強化できます。また、繰り返し声に出して読むことで、豊富な語彙も自然と定着すること必定です。すでに基本を身に着けており難関大学受験を控える受験生、学生時代英語は得意だったが久しぶりに勉強しようとしているビジネスマン、TOEICのリーディングスコアが伸び悩んでる方にとって、目先の対策ではなく、地力をつけていくにピッタリのリーディング教材。