「過去と他人は変えられない」とは有名な言葉ですが、「未来と自分を変える」には物事の受け止め方しだいです。「ワンフレーズ心理テクニック」により、悪い流れを断ち切る習慣づくりをしておきましょう。たとえば、失敗するたびに「自分はダメな人間だ」と考え、反芻していると、いつしかそれが思考が常態化して「フュージョン」(fusion=融合、統合)が起き、「自分はダメな人間だ」という思い込みがが起きてしまいます。したがって、自分の思いこみと現実を切り離す「脱フュージョン」を起こすために、自分の行動や心理を変える「ワンフレーズ」を思い出したり、つぶやくのが効果的なのです。
失敗にめげないためのワンフレーズ
誰にでも失敗はあるものですが、くよくよと悩んでしまうという人も多いのではないでしょうか。しかし、失敗したまま失敗のことを思い出し続けて心をすり減らし続けることが真の失敗です。何か、成功につながるような行動に転じるきっかけが欲しいものです。行動し続ければ、失敗は失敗でなくなるからです。そんなときに効くワンフレーズが、「ちょうどよかった、◯◯しよう♪」瞬時に切り替えていくにはうってつけのフレーズです。失敗の内容や程度にもよりますが、「たいしたことないから、ま、いっか♪」もダメージ軽減には有効です。
情動の制御のためのワンフレーズ
いらっとすることがあったら、「今の怒り、何点ぐらい?」というフレーズを自分自身に問いかけてみましょう。 採点基準は、怒りをまったく感じていない状態が0点、相手を殺したいくらい腹が立っていたら100点です。怒りの衝動を客観視することで、気持ちを落ち着かせる効果があります。気持ちが苛立った時に効くワンフレーズ では、「この怒りの パワーを 活かすんだ!」というのもあります。 ただ怒っているだけじゃもったいないです。怒りの負の感情を生産的なプラスのエネルギーに変えてしまいましょう。
ストレスへの対処法「アリア・クラムの3ステップ」
ストレスとはうまくつきあっていく必要があります。はたして、どう対処したらいいのでしょうか。ストレスについては興味深いリサーチの結果が紹介されています。
1998年にアメリカで3万人の成人を対象に行なわれた調査によると、「強度のストレスを感じたグループ」は8年後の死亡リスクが 43%も高くなっていました。しかし、死亡リスクが高まったのは「ストレスは健康に悪い」と考えた人たちだけ。「ストレスは健康に悪い」と考えなかった人たちの死亡リスクは上昇しなかったばかりか、「ストレスがほとんどなかったグループ」よりも死亡リスクが低かったというから驚きです。さらに別の研究では、「ストレスにはよい効果がある」と考えるだけで、免疫低下やうつ症状に関わるホルモンであるコルチゾール値が下がり、脳の成長を促し免疫力を高めるホルモンであるDHEA(デヒドロエピアンドロステロン)の値が上昇する、ということも解明されています。
つまり、ストレスを過度に敵視せず、フラットに受け止め、できればよい効果さえあると前向きに捉え直せばいいわけです。具体的な手順としては、「アリア・クラムの3ステップ」により、 ストレスをパワーに変換する道筋を作ることができます。
1 ストレスを感じていることを認める
2 「ストレスによって脅かされているもの」に目を向ける 。次に、ストレスによって「自分にとって大切な何が脅かされているのか」を考える
3 「そのストレスを何に使うか」「ストレスのおかげでうまくいく」と考える
認知→分析→リフレーミングといった手順で、より生産的な活動へとストレスを昇華できます。ストレスにはチャンスと学びが内在しています。悲しみや傷心と無縁で生きていく人などいないのですから、ストレスを回避するのではなく、受け止めた上でいなすことで、精神力の強化、人間関係の深化、認識力の向上、新たな視点の獲得、達成感、より前向きな人生観、意義・やりがいの感覚、優先順位をつける能力の向上などにうまくつなげていきましょう。