今日紹介するのは、「人生最強の武器 笑い(ジョーク)の力」。本書のサブタイトルは「ユダヤ人の英知に学ぶ」となっています。ヘブライ語でジョークに当たる言葉は、ホフマといい、知恵や英知を意味しています。まず、この点が驚き。アインシュタイン曰く、「私は相対性理論を、ジョークと、笑いを好んだことによって、発見できた」のだそうです。
さらに、筆者によれば、笑いの効用は11もあるとか!
列挙すると以下の通り。
1:健康に良い
2:頭がよくなる
3:人生に対してしなやかな態度をもたらす
4:心を高揚させる
5:心の暗闇を取り払い、心を明るく照らす
6:あらゆるものを平準化する
7:素直になれる
8:自分に対して寛容になれる
9:不遜である=不屈である
10:連想力を磨く訓練
11:話す能力が向上
なるほど、ジョークで笑い続けてきたユダヤ人が数多の困難をくぐりぬけて生き残り、しかも様々な分野において多大な成果を上げているのも、なんとなくわかる話です。元気が第一。
今の日本は、あらゆる先行き不安が跋扈し、笑えない世の中になっています。自粛ムード、ポリティカル・コレクトネス……どことなく抑圧的な雰囲気がそこかしこにあります。だからこそ、今こそ”笑い”が必要な時です。この重苦しい空気も、笑いがあれば、部分的に変わることもあるのではないか。
と、そんな堅苦しい言い方はさておき、要は笑えばいいのだ。我々の国にも「笑う門には福来る」という言葉もあることだし。
本書にはたくさんのジョークが含まれていて、どれもオチが面白く、単純に読み物として面白いです。星新一のショートショートよりも短い、ショートショートショートだ。そこで、いくつか面白かったものを一部要約して紹介してみようと思います。
教師「ジョージ・ワシントンは、父親が大切にしていた桜の木を切り倒しました。父親に叱られると、自分がやったと率直に認めました。そこで、父親は許しました。どうしてですか?」
生徒「ワシントンが、手に、まだ斧を持っていたからです!」
思わず。あっと声をあげてしまっいました。そりゃ許すしかないですねf^^;
母はミンクのコートを買って上機嫌で家に帰ってきた。
母「どう?これ、ママにとっても良く似合うと思わない?」
息子「そうだけど、ママ、毛皮のコートはもう3着も持ってるじゃない?」
母「これで4着よ」
息子「でも、動物がかわいそうだよ」
母「ピーター、悪い子ね!いくらなんでも、自分のお父さんを、動物と呼んではいけません!」
そっちか!妻にとっては夫も動物扱い…。
「処女の定義は何か?」
「クリントン大統領よりも、速く走れる娘」
日本はスキャンダルには事欠かないのだから、もっとジョークがあってもいいのにね。
問い:「フォルクスワーゲンの中に、ユダヤ人を何人詰め込めるだろうか?」
答え:「2020人」
理由:2000人を灰にして車体の中に、20人分は灰皿に詰め込む。
ホロコーストをもとにしたまさかの自虐ネタ!
質問「ナチスの軍用犬と、普通の犬の違いはどのようにわかるか?」
答え:「ナチスの軍用犬は、小便をするときに、右の前足を上げる。
普通の犬は後ろ足を上げる。」
ナチスの党大会で、党員が右手を前に上げて「ハイル・ヒトラー!」と絶叫している。全員が小便をしているのであろうか?
党員=ヒトラーの犬どもといったわけで、比喩のうまさが絶妙。
こんな具合に、たくさんのジョークが詰まった本書で、笑いの世界にひたってみるのも一興ですね。最後の方に、筆者は以下のように書いていいます。
「英語のユーモアの語源は、ラテン語の「湿気」である。空気がカラカラに乾燥しきってしまうと、人が息苦しくなってしまうからであろう。ユーモアとジョークは、人が生命を取り戻せる、加湿機でもある。」
なるほど、humorとhumid(湿気の)はつづりが共通する部分があります。人が生命を取り戻せる加湿機は、人々の乾いた心に必要です。心が乾いて荒んだ時代、洒落にならない状況を、洒落にしてしまう明るさが、今の日本にも必要なのかもしれないですね。