テレワークの要諦は”自律”と”集中力の維持”です。スピード感を重視して仕事に取り組むためには、「さっさとやれば、なんでもできる!(中島 孝志)」が参考になります。仕事を早く終わらせれば、趣味や自己研鑽、家族との団らんなどに充てる時間も増えます。そのために必要なのはまず意識改革です。
『ライバルより先にやらなくちゃという競争意識を持つだけで、仕事のスピードは速くなる(略)仕事の出来映え、歩留まりも大切だが、仕事への取り組み姿勢はもっと大事。変革でいちばん大切なのは意識革命なのだ。仕事には必ず締切(ゴール)がつきものだ。いくら成果をあげても、締切に間に合わない仕事にはまったく価値はない。』意識なくして、行動は変わりません。まずは、スピードの源やインセンティブになることを思い浮かべる事が大事です。
さらに勢いある仕事をする人の特徴を、斎藤一人さんの言葉を交えて紹介している。『「運勢っていう言葉があるけど、これは勢いを運ぶってことなんだよ。返事にしても、勢いのいい返事をする。勢いよくスピードをつけてバンバンやる。そうすると、運勢が良くなるんだよ」と言うのは、齋藤一人さん(銀座まるかん創業者)だ。(略)忙しいからこそ、どんな相談でもその場で解決しようとする。自分で回答できない場合はかわりに人を紹介する。その場、その場で自ら電話をかけるのだ。このレスポンスの速さには驚く。仕事が速い人はスピード感覚に溢れている。「打てば響く」のである。』一見すると言葉遊びのようにも見えるものの、納得感がある内容です。
とはいえ、何でもガーッとやればいいものでもありません。濃淡を理解し、メリハリをつけることが重要です。かのドラッカーもこう言っています。「集中することなくして成果をあげることはできない。」、「成果をあげる秘訣を一つだけあげるならば、それは集中である。成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない」。以下のとおり、得意・不得意を見極めて時間と労力の割り振りで仕事を交通整理していく必要がありそうです。
『仕事が速い人はどうして速いのか? それは素早くできることをしているからだ。とくに得意なことをしていれば、高速どころか光速のスピードである。 得意なことをしている時が人間はいちばん楽しい。創意工夫も次々に浮かんでくる。どんどん速くなっていく。仕事が遅い人はその逆。苦手なことをしていれば、だれだって遅いのは当たり前。まして、できないことに挑戦するなど暴挙の沙汰だ。仕事の速い人は「できること」「できないこと」をいち早く分別する。そして、「できること」のみに専心し、「できないこと」はできる人に任せようとする。このほうが仕事の効率はあがるし、出来具合もずっといいに決まっているではないか。世の中でいちばん悲惨なことは、できないことをできるように頑張ることである。面白くないし、辛いし、生産性はあがらないし、周囲からは常に文句を言われるし、自分は劣等感にさいなまれるし、どこをとってもいいことがない。』
緊急度と重要度を仕事の優先順位にしていくのも常套手段ですが、緊急度はわかりやすい一方、重要度についての判断材料って意外と難しいところですよね。濃い仕事とは何かを判断する際には会社にとって貢献度が高い仕事とは何か、定量的・定性的に見つめ直すのも一案です。『どんな仕事も大切には違いないが、「重要度」というフィルターを通すと、一つひとつの仕事に「濃淡」があることがわかる。 もちろん、大切なのは濃い仕事であり、それを最優先しなければいけない。 濃い仕事とは「会社にとって貢献度が高い仕事」ということである。 たとえば、それは売上であったり、顧客満足感であったり、あるいは地域社会への貢献であったり、それぞれの会社が掲げる価値観によって千差万別だ。 仕事が速い人は会社の価値観、方針に沿ってこの濃淡をきっちり分けている。』
優先順位をつけるには、リスト化も手です。デジタルな時代だからこそ、アナログに手帳に書くことで、行動の指針を意識に刻みつけ、がっちり定める事ができます。『仕事が速い営業マンは、おおいに売上が上げられそうな見込み客、それと既存の顧客とのバランスを上手にスケジューリングしているのだ。 「今週はA社とB社という既存顧客をベースに、C社とD社という有望顧客にチャレンジしてみよう」という具合である。 仕事ができる人は、手帳を上手に使っている。たとえば、「To Do List」に今日すべきこと、今週すべきこと、今月すべきことを、すべてリストアップする。そして、このリストに優先順位に沿ってナンバリングを振るのだ。 あとは、このナンバリング順にどんどんこなす。すなわち、優先順位に則って仕事をするのである。』
また、リスト化の際には、単純に何をするか(to do)だけではないリスト化も、予定の立て方として面白いですね。たとえば、こんな感じです。『「①「To Do List」 すべきことリスト。 ②「To Be List」 こうしたい、こんな状況にしたいというリスト。 ③「To Have List」 なにが必要なのか、というリスト。 ④「To Meet List」 だれと会うべきか、というリスト。 ⑤「To Study List」 なにを勉強すべきか、というリスト。』。仕事の進め方だけでなく、その後の仕事の広がり方までもが含まれており、可能性が広がっていきそうな予感がしてきます。
以上については、自分自身の計画の立て方でしたが、仕事の進め方をしっかり一部上司と共有しておくことで、余計なコミュニケーションの手間や行き違いなどをしっかり防止しておくことも重要です。本書ではこのように”中間報告”の要諦をアドバイスしています。『さて、その時、仕事の速い人はどうするか? 現状について必ず中間報告をするのである。なぜか? 次の三つの目的がある。 ①まだ継続中であることをアピールする:途中経過を正確に伝えておくことで、引き続きバックアップしてもらうのだ。 ②相手に忘れさせない:いざというとき、「あぁ、そんなこと聞いてたね」と惚けられないようにする。 ③「あれ、どうなった?」と不安がらせない:逆に言えば、中間報告することで安心させるのである。』報連相は重要なのですが、一言こまめに上司に中間報告しておくだけでも、スムーズになる場面は多いはずです。自分一人の仕事だとしても、結局は周りの動きにも関わリます。事前に一言添えておけば、余計な心配をさせず、進捗・結果報告の双方が円滑になり、かえって動きやすくなるのです。