「本を読みたいけど読む時間がない」、とお悩みのあなた、まずは「10分から」始めてみませんか?10分×7日で70分です。1週間で大半の本は読めます。1年は52週ですから、単純計算で52冊は読むことが可能です。
「「明日の自分が確実に変わる 10分読書」の著者・吉田裕子氏は国語講師。地方の公立高校から塾・予備校を使わずに東京大学文科三類に現役合格。教養学部超域文化科学科を学科首席で卒業。働きながら、慶應義塾大学文学部を卒業、放送大学大学院を修了。通信制大学の学業と、仕事とを両立したそうです。
まずは”1日10分”読めば良い理由
吉吉田氏は「10分読書」と題して、自由時間のうち10分間を読書にあててみようと提案しています。たった10分と思うかもしれませんが、積み重なれば大きな差を生みます。もちろん、10分を継続していくうちに、もっと深く読書ができるようになるかもしれないし、モチベーションが上がればもっと読書に時間を充ててもいいのです。
1日10分すら捻出できないですって?そうですね、忙しいですよね。そんな時間がないと嘆いてやまない方は、胸にこう問いかけてください。「私はトヨタや伊藤忠の社長よりも忙しいのだろうか?」と。トヨタ自動車の元社長奥田碩氏や伊藤忠商事元社長の丹羽宇一郎氏は、読書家としても知られていました。
1日10分読む効果としては、まとめて70分読むよりも、記憶に定着しやすい面もありそうです。心理学の「初頭効果」が期待できるからです。初頭効果とは、最初に与えられた情報が後の情報に影響を及ぼす現象を指します。 人や物に対する第一印象が長い間残り続けるのは初頭効果の影響です。集中力の観点からも、細切れに意識を集中して読んだほうが記憶に残りそうですね。
「読解力」でさらに育つ「粘り強さ」「自信」「やり抜く力」
「読解力」を上げることで、付随する効果をも生み出します。著者は、読解力を高めることによって全教科の問題文の理解力が上がったからこそ、参考書を用いて独学することができたと語ります。さらに、分厚い本を読み切る経験は、「粘り強さ」「自信」「やり抜く力」を育てました。ウェブやSNSにおける細切れの文章ばかりで過ごしていると、こうした能力は育つでしょうか。紙にせよ、電子書籍にせよ、本を読む習慣の有無はビジネスパーソンとしても、家庭生活においても大きな差を生むことでしょう。誤解や誤読に基づく短絡的な非難の応酬や罵詈雑言の世界から離れ、じっくりと物事を理解する力を養うほうが生産的だと思いませんか?
「語彙力」「客観力」「想像力」の3つも育つ
語彙には、意味を何となく知っている「認知語彙」と、実際に会話や文章で自然に使いこなせる「使用語彙」の2つがあります。認知語彙を増やすだけならば、辞書や漢検の問題集などで言葉を覚えるだけでもいいかもしれないですが、使用語彙にするためには、書き言葉である本を通じて継続的に新しい言葉に触れる必要があるわけです。英語でも単語集で単語を覚えるよりも、実際の文章で単語がどのような文脈や関連語と使われているのかを自然と身に着けていくふが定着度が高いです。母国語においても幅広い語彙の選択ができるようになると、書き言葉・話し言葉双方で適切な物言いにより、実生活やビジネスにおいて功を奏する場面があるでしょう。
読書を通して自分自身を客観視する力が身に付くのも、読書のメリットの一つです。本という自分の外側にあるものを読むことで、自分の置かれた状況や内なる思いを冷静に捉え、理解することができるようになります。読書を通して自分が抱える課題への対処法を見つけたり、自分と同じような悩みを抱えている人がいることに気づき、思考を変えることで、元気になれたりするでしょう。まさに「読書で現役世代を元気にするブログ!」で意図するところでもあります。
最後に、想像力です。人を理解するためには、相手の気持ちになって考える想像力が必要です。想像力は、異なる他者と本で出会い、向き合い、知っていこうとすることによって養われます。もちろん、知識なくして想像の幅は広がりません。他社の思考や論理連関を読み解く努力をすることや、この世の様々な人々が置かれている背景や文脈、文化・習俗に対する理解を深めることは、対話においても重要なのです。
このように、「読解力」の強化により、「粘り強さ」「自信」「やり抜く力」を身に着け、「語彙力」「客観力」「想像力」の3つも育てる事ができるのです。そのための最初の1歩は「”1日10分”の読書」から。習慣の継続は、明日の自分、1ヶ月後の自分、10年後の自分を変えてくれます。今のあなたは過去のあなたの選択と行動、習慣でできています。未来の自分は、今のあなたの選択と行動、習慣でできているのですから、きっと良くなります。