2023年に一番面白く、学びが多かった本をレビューします。
トップ声優・悠木碧(ゆうきあおい)さんのエッセイ「悠木碧のつくりかた」です。
下記の通り、全社会人にとって重要な3つの力が学べます。
人生に役立つ1冊で投資効果は抜群ですよ!
- 社会で生き抜く人間観察能力
- 仕事をこなすタスクマネジメント能力
- 仕事や趣味との付き合い方・折り合いをつける力
1:社会で生き抜く人間観察能力
人間社会、会社で生き抜くために必要な能力とは何でしょうか?
一つは、状況把握のために必要な人間観察能力です。
なぜなら、他人の感情を推し量り、自分の感情を制御できないと無用な衝突を招くからです。
つまり、IQ(知性)だけでなく、EQ(心の知能指数)が重要です。
もちろん、自然とEQを備えている人は苦労しないのでしょう。
しかし、私も含めEQが足りない人間は後天的に意識して伸ばす必要があります。
また、人間観察の能力は、他人だけでなく、自分自身に発揮するのも有効です。
常に「見られる」役者ならではの視座と考え方は、大いに学びになりました。
【スキル:自己観察】から始める人間観察能力
人間観察の前に「【スキル:自己観察】」があると悠木碧さんは述べます。
自己観察とは、”客観視”する能力とも言い換えられるでしょう。
ここで悠木碧さんの見解を2点紹介します。
「座ったまま鏡に向かってひたすら自分を見ていればいいんです。そして、今なぜ自分が楽しいのか。悲しいのか。怒っているのか。そういうことを、心の芯まで考えていく。」
「特に今は、SNSや配信も自由にできる時代ですから、自分自身を誰に、どのように、見せていくかを客観視する能力は不可欠だと思います。」
なぜ、自己の内面を見つめるのか?なぜ、自己の見せ方を吟味するのか?
その背景にはデジタルテクノロジーに耐えず知覚を刺激されている現況があります。
忙しい現代だからこそ、内省する静かな時間を持つ。
シリコンバレーでは瞑想が流行っていますね?
自身の感情を見つめ直すと、自分の軸や価値観に向き合えます。
外部の世界に立ち向かうには、揺るがない自己を確立する必要があります。
そのうえでどう振る舞い、どう見られるかを考えて発言し、ときに演出し行動する。
自分自身の考えを深める時間を持つ人とそうでない人では、大きな差がつくのではないでしょうか?
「人からどう思われているか」の悩みにどう対処するか
とはいえ、自己を客観視する時、「人からどう思われているか」は悩みのタネにもなりますよね?この悩みには、「三年ボックス(by早見沙織さん)」の考え方が有効です。
「相手がどう思ってるかはすぐには分からないから、一旦そのモヤモヤを三年ボックスに入れて、三年後に取り出してもう一度考える。三年後思い出せないようならそれでいいし、思い出せることなら三年後の自分であればまた違った答えを出せるはず」という考え方です。
たとえば、職場で何かカチンと来る一言を言われてモヤモヤしたとしましょう。
たしかに、あなたの何かが実際に悪くてそう言われたのもかもしれない…
しかし、実際には他の可能性も大いにありえます。「たまたまお腹が空いていた」、「最近何かプライベートで嫌なことがあった」、「伝え方の吟味が拙く不躾な言い方にたまたまなってしまった」のかもしれません。
そもそも「特に深い意味はない」ケースすらあるでしょう。
自分が思うほど、相手があなたのことを考えているとは限らないないものです。
だから、「人からどう思われているか」に悩んだら、「三年ボックス」の手法を思い出してみてください。決めつけずに、判断を保留する。ひとまず「カッコで括る」のは有効です。思考エネルギーの節約にも役立ちます。
自他の感情分析は喜怒哀楽+快から2つ選んでみよう
自他の感情分析手法に関してもユニークな手法が紹介されています。
「喜怒哀楽+快の五つの中から、自分を構成する感情を二つ選ぶ(by寿美菜子)」
「何かに迷った時の即席自己分析に使えるのはもちろん、役を掴む時にもめちゃくちゃ役立ってます。キャラクターのプロフィールシートと台本をもらったら、その子は喜怒哀楽+快のうち、どの二種が強いかをまず考えます。今のその子のシーンでは、強く感じた部分を強調して演じればいいし、足りていない情緒を少しだけ多めに表現してあげることで、キャラクターの成長を表せたりもします。」
自分がどういう時にどんな感情を持つのか?を考えるのは、人生観や価値観、判断の軸などを考えるうえで有効です。とはいえ、感情の動きを漠然と考えてもよくわからない。そこで、様々な場面を想定して「喜怒哀楽+快の五つの中から二つ選ぶ」と自己分析がしやすい。
もちろん、他者の感情の簡易分析にも使えます。「哀しそうな顔をするけど本当は怒っているかも」、「この人には、こういう言葉をかけると喜ぶな」、「あの人にその話題は地雷だ!」、「課長は部長に忖度するので、部長の意見を軽く冒頭で聞いてから会議をスムーズに進行できるな」、色々な適用方法があります。
たしかに、人の感情なんて本当のところはわからない。だからといって、瞬発力をもってその場で仮説を立てないと始まらない。そんな時には「喜怒哀楽+快の五つの中から二つ選ぶ」を実践してみましょう。仕事にも、恋愛・家庭生活にも役立ちますよ。
2:仕事をこなすタスクマネジメント能力
もっと仕事も趣味も、家庭生活も楽しみたい!けど、時間がないよってなりますよね?では時間を生み出すにはどうしたらいいか?その答えはトップで活躍する人が持っています。
悠木碧さんはトップ声優として多忙を極める中でも、音楽活動に加え、漫画の原作までも手掛けています。しかも、当代一流のオタクとしてゲームや漫画の摂取にもに余念がありません。
一体どんなタスクマネジメントの能力を持っているのでしょうか?秘訣は「AしたらBする」、「迷わない工夫を作る」のルールにあります。
「AしたらBする」のルールに従う
第1に、「AしたらBする」のルールに従う、です。
「朝、起きたらまずパズルゲームをします。脳を活性化させないと、二度寝の誘惑に勝てないからです。」
「この段階で起きられない場合は、ガムを噛んだり音楽をかけたり、いろんな方法で自分のテンションをあげていきます。何となく目が覚めたら目薬をさして、水を飲んで、事務仕事を終わらせます。」
二度寝の誘惑を断ち切るために「AしたらBする」のルールメイクをしているばかりか、「BでもだめならCする」とは、隙を生じぬ二段構えですね…
「荷物を置いて手洗いうがいを済ませたらまず運動します。まったりしちゃう前に身体を動かしておかないと、絶対やらなくなっちゃうんですよね。筋トレの中では、私は割とプランクが好きです。可能な限り地面に張り付いています。しんどいけどやった分、翌日お腹 から声を出すのが楽になるというか……。他にも、スクワットや『フィットボクシング』など、一時間くらい身体を動かします。」
帰宅したらすぐエクササイズする。シンプルですが習慣づけにはもってこいです。仕事から帰ってきたら筋トレ→お風呂のコンボをルーティンにすれば続きそうですね。余談ですが私の場合は「#今日の積み上げ」のハッシュタグを付けてX(Twitter)に投稿しています。組み合わせると最強です。
「迷わない工夫を作る」
たくさんのことをやるにはどうしらいいか?その答えは「迷う・悩む時間を減らす」です。
「強いて言うなら、やることに優先順位をつけてスケジュールを立てて、なるべく迷わず次やることを決めたがってる感じはありますね。」
「材料が揃ってしまえば、勘と瞬発力で選ぶものが一番いい結果を出してくれる気がします。不思議なことに、こねくり回した時ってだいたい出来上がりも微妙なんですよね。必要ない迷いを消していくことで、必要な部分でちゃんと迷うための時間を捻出しているのかもしれません。」
優先順位を付けて迷いなく次々にこなしていく。できるビジネスパーソンそのままです。やはり一流の役者は一流の社会人です。
「作品の収録で必要な資料などを纒めてiPadにぶち込んでおきます。アニメアフレコ以外の仕事はほとんどiPadで行っているんです。理由は、紙資料が多すぎると間違えたり忘れ物をしてしまうから……です。」
物を探す時間は、ビジネスパーソンにとって時間ロスの大きな要因の一つ。決まった場所に物を入れる、置く、戻すと決めれば確実にアクセスできます。PC上でもファイルを探す時間って結構年間に多いと思うんです。私の場合、フォルダ名を資料の種類と用途にして、ファイル名を「日付からスタート」にすることで整頓しています。地味に時短になっています。
「風邪っぽいな?と思ったら、肩甲骨の間にお灸を貼って、「R-1」と「キレートレモン」を飲みます。」
健康面ではこんなコツも。声が商売道具ですから、声優界の言い伝えは勉強になります。なぜ、肩甲骨の間?と思い調べたところ、ツボがあるのです。肩甲骨の間にあるツボは『風門』。 首から背中にかけて僧帽筋という大きな筋肉があるため、ここを温めると首や肩のコリが和らぎます。風に直接聞くかわかりませんがリラックスできそうでいいですね。
「ポイントは、同じ仕事ばかりしないということ。自分の飽きっぽい性格はよく分かっているので、九十分毎にタイマーをかけて、メールチェック→脚本執筆→イラスト制作→台本チェックみたいに、あえて脳みその違う部分を使う仕事をやることで、休日も働いている感を薄れさせます。」
集中力を保つコツは同じことを続けない。目先を変えて脳を活性化する、とのことです。タイマーをかけて締め切り効果で集中力を増すのもストイック。私もだらけがちなテレワークでは、30分の砂時計を使って2つの資料を交互に作成したり工夫しています。
3:仕事や趣味との付き合い方・折り合いをつける力
「好きなことをして生きたい!」、そうお考えの方は多いのではないでしょうか?ただし、現実は甘くないですよね…。なので、「好き」と「得意」にどう折り合いをつけるかは人生のクオリティを左右します。
悠木碧さんの結論はこうです。
「得意なことを仕事にして、その糧で好きなことを楽しむ。」
なんと健全で明快な考え方でしょうか。
仕事は生きるための手段であって、生き方ではない
「仕事は生きるための手段であって、生き方ではありません。なるべく楽な方が手段として効率的です。そして、得意なことで生活の基盤を作って、お金や時間を趣味につぎ込んだ方が、結果的に好きなものの為に生きることが出来ると思います。」
大賛成です!得意な仕事で(なるべく楽に)稼いで、生産性向上で浮いた時間を好きな趣味を楽しむ。なんと素晴らしい考え方です。私も実践しています。
好きなことは仕事にせずとも寄り添ってくれる
「好きなことは、たとえ仕事に出来なくたって、一生あなたの傍らに寄り添ってくれます。だから、無理に仕事に組み込まなくてもいいのです。」
救いの言葉です。好きなこと・やりたいこと症候群から解放されます。もう一つ言えば、「仕事の中に好きを見出す」。この作業は好き、あの人との仕事は楽しい、なんでもOK。仕事を嫌いと決めつけて黒く塗りつぶすより、好きな部分に目を向けると、仕事を楽しく出来ますよ。
得意とは、楽に続けられること
「得意なことがない人はどうしたらいいの? と思う方もいるかもしれません。なにも、一番じゃなくていいのです。人と比べなくてもいいのです。自分の中で比較的楽に続けられることを基準に選ぶといいと思います。」
胸がすっと軽くなる言葉。比較的楽に続けられる、得意の定義として、ゆるくも程よい塩梅で的を射ています。続けられるならば、もう得意と言ってしまっていい。割り切り方が素敵です。
終わりに
悠木碧さんのエッセイ「悠木碧のつくりかた」は他にも楽しいエピソードが満載で読み応えが抜群です。が、本記事は入り口として、ビジネスパーソン向けに紹介するレビュー記事に仕立てました。
・社会で生き抜く人間観察能力
・仕事をこなすタスクマネジメント能力
・仕事や趣味との付き合い方
この3つの力はあなたの仕事も趣味も人生も支えてくれることでしょう。
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