【祝2万5000円突破!】日経平均株価の半分を占め、牽引する15企業の横顔【初心者向けコラム】

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日経平均株価を大解剖!そのあまりにもイビツな正体と落とし穴とは?」で日経平均株価は225社で構成されているのに、実際はたった15社で50%を占めると書きました。今回はその15社の横顔を簡単にご紹介していきます。この企業を知らずして、日本経済、いや世界経済や日経平均株価の先行きを語ることはできないからです。

目次

1位・2位:コードナンバーお隣の9983、9984
ファーストリテイリングとソフトバンクグループ

まず、1位のファーストリテイリング。1銘柄で約12%占めており、日経平均株価の命運はユニクロにかかっているといっても過言ではありません(笑)足元の新年度は中国や東南アジアの成長を取り込んで大幅な増益を見込んでおり、史上最高値を驀進中です。日本は人口が増えないから日経平均株価は上がらないなんてことはないのです。
2位のソフトバンクGは約6%を占めます。通信子会社のソフトバンクの株も持っていますが、本質的には投資会社です。ビジョンファンドを通じて上場・非上場問わず様々なIT企業に投資をしています。アリババ株も大量に保有しており、含み益の大半を占めています。毀誉褒貶の激しい経営や米国ナスダック市場の動向に加え、最近では資産の現金化を進めており自社株買いの動きも株価を見るコツです。

3位・9位・10位:世界の半導体産業を支える優良企業
東京エレクトロン、アドバンテスト、信越化学工業

3位の東京エレクトロンと10位のアドバンテストは半導体関連銘柄です。世界上位15位に入るのは、イメージセンサーのソニー、NANDフラッシュメモリのキオクシア(東芝メモリ)、車載マイコンのルネサスエレクトロニクスだけです。しかし、製造装置や素材・部材といった分野には日本の強みが残っており、日本企業なくして半導体は作れません。東京エレクトロンは前工程の製造装置を多数ラインナップに持ち、アドバンテストはその名の通り半導体の性能・信頼性を確かめるテスタを扱います。半導体製造装置は設備投資の波で大きく業績は揺れ動くため、株価も調子がいい時はとことん良くて、悪い時はとことん悪いというかなり面白い値動きをします。
9位の信越化学工業は、半導体の素材であるシリコンウエハの大手です。メモリに使う300mmウエハにおいて、信越化学工業は同じく日本のSUMCO、ドイツのシルトロニック3社で事実上寡占市場を形成しています。また、住宅など建材などに使われる塩ビで世界1位のシンテック社を子会社に持ちます。複数の収益源を持つ優良企業であり、単なる景気にふらされやすい素材・化学企業ではありません。

4位・5位・13位・14位:製造業の雄たち
ファナック、ダイキン工業、TDK、京セラ

4位のファナックは産業用ロボットの大手。シンボルカラーを黄色に統一し、巨額の現金をバランスシートに溜め込む謎めいたカルト企業(?)として海外誌に取り上げられた企業でしたが、最近ではIRの姿勢は以前ほどミステリアスではなくなってきました。営業利益率はかつては40%台を誇っていますが今は10%台と寂しいです。FA・自動化関連の一角として、自動車産業やスマートメーカーの設備投資動向を推察するのに欠かせない会社の一つです。
5位のダイキンはグローバル・ナンバーワンのエアコンメーカーです。特にこの10年はM&Aを繰り返し世界的な地位を盤石なものにしました。銅価格がコストに影響を与えますが、原価低減・販管費コントロールにも定評があり、一見景気敏感株のような業種でありながら、力強い成長を実現してきました。
13位のTDKはカセットテープの大手……だったことももちろんありますが、私たちのスマホ、パソコン、タブレットなど多彩な用途で使われるラミネート型リチウムイオンポリマー電池が絶好調です。セラミックコンデンサやHDDヘッド、センサも手掛けています。14位の京セラもセラミック包丁の大手……でもありますが、セラミックコンデンサ、半導体・自動車関連用部品など多岐にわたる電子部品の大手です。ちなみに日経平均株価には村田製作所や日本電産は入っていません。旧・大証の値がさ株はなぜか入ってこないのです……もったいない。

7位:菅新政権に対峙する3大キャリアの一角 KDDI

KDDIはauブランドを展開する通信3大キャリアの大手です。21年3月期は19期連続増配を見込み、先日も2000億円もの自社株買いを発表するなど株主還元に積極的な会社です。ただし、足元では政権の圧力が重石。2018年の夏、菅首相は官房長官時代に4割値下げ発言で物議を醸し、通信キャリアは中・小容量プランの値下げでしのぎました。法改正により、通信・端末料金の分離や解約料金の値下げがありましたが、3社の一人あたり利用料収入はさして低下はせず、解約率は上昇するどころか低下しました。菅首相が通信3社が営業利益率20%台を保っていることを批判するなど常軌を逸した圧力がありますが、これに呼応する形で、サブブランドのUQモバイルから月20GB・約4000円の新プランを発表しました。ソフトバンク(9434)も似たようなプランを発表しており、大容量の高級プランよりは4割安いリーズナブルなプランを消費者に提供することで、政権へのひとまずの回答とした格好です。政権側の反応が個今後も気になりますが、一人あたり利用料収入の低下を緩やかなものにできれば、法人・ソリューション分野や金融・決済などau経済圏分野の伸びで相殺して、安定配当を維持できそうです。

6位・12位:消費・サービスセクターの巨頭
エムスリーとリクルートHD

6位のエムスリーはあまり耳慣れない会社かもしれませんが、日経平均のサービスセクターで最大の寄与度を誇っています。ソニーの持分法適用会社で、ネットから医療業界師を支援するビジネスを手掛けています。医療情報専門サイトm3.comや転職サイト、電子カルテ、オンライン診療など多岐にわたるサービスを展開しており、日経平均採用企業のなかでも指折りのグロース企業です。
12位のリクルートHDは言わずとしれた人材サービスと販促支援サービスの大手です。消費者と企業クライアントをネットプラットフォーム(古くは情報誌)で結びつける事業を生業としています。人材サービスは新卒、転職、派遣と幅広い領域をカバーしており、近年では2012年に買収した「indeed」が世界60カ国・毎月2億人以上が利用する求人プラットフォームとして飛躍的に伸びています。このためか、海外投資家からはグローバルなITテクノロジー企業として認知されているようで、株価はナスダックを牽引するアップル、アルファベット(グーグルの親会社)、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブックなどと似たような上下動をすることが多いようです。
また、もう一つの柱である販促支援の事業もまだまだ利益貢献としては大きく、見逃せません。「HotPepper」、「SALON BOARD」、「じゃらん」、「カーセンサー」「ゼクシィ」、「SUUMO」、「Airレジ」に象徴される「Airビジネスツールズ」、「スタディサプリ」など日常生活からライフイベントをカバーする幅広いジャンルを扱っています。

8位・11位・14位:世界の医療を支える企業たち
テルモ、中外製薬、第一三共

8位のテルモはカテーテルなど医療機器の大手。脳血管・心疾患など血管絡みはがんに次ぐ死因の2番手であり、高齢化が世界的に進むなか存在感が高まっています。精密機器セクターは事実上医療機器セクターといっても過言ではないでしょう。つまりニコンやシチズン、リコーではなく、テルモやHOYA、メニコン、オリンパス、朝日インテック、島津製作所などの業績・株価パフォーマンスが重要性を増しています。

11位の中外製薬と15位の第一三共は日本を代表する医薬品企業。中外製薬は親会社のロシュ(スイス)のもと、血友病の「ヘムライブラ」など独自の強みを持つ薬のライセンス収入が好調です。第一三共はアストラゼネカ(英)から、抗がん剤について全開発・販売マイルストーン達成で総額約6000億円もの大型契約を2本も提携しており、将来への期待感が高まっています。新型コロナウイルスのワクチン供給に関してもこの2社は提携関係にあります。

以上で、日経平均株価のの半分を担う15社をご紹介してきました。意外とやるじゃん、日本企業!と思って下さったら幸いです。

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この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

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