藤井聡太二冠も受けたモンテッソーリ教育の3つの基本とは?:「子供の才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」堀田はるな 、 あさ出版

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「弟子・藤井聡太の学び方」で書かれている通り、藤井聡太二冠(王位・棋聖)が「モンテッソーリ・メソッド」を用いた幼稚園に通っていたことは有名ですよね。詰将棋解答選手権5連覇に加え、史上最年少でのタイトル2種獲得は圧巻としか言いようがありません(この2つのタイトルの賞金だけで年収は3000万円以上は下らないでしょう)。モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」です。まさにそうありたい人物像と言えるでしょう。モンテッソーリ教育を受けた主な著名人は藤井聡太二冠以外にも多く、以下のとおりです。

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モンテッソーリ教育を受けた主な著名人

Google 共同創業者:ラリー・ペイジ、セルゲイ・ブリン
Amazon.com CEO:ジェフ・ベゾス
Facebook創業者:マーク・ザッカーバーグ
経営学者:ピーター・ドラッカー
元米大統領:バラク・オバマ
元米大統領:ビル・クリントン
俳優:ジョージ・クルーニー
歌手:テイラー・スイフト

藤井聡太二冠のみならず、錚々たる顔ぶれですね……!

モンテッソーリ教育の特徴とメリットとは?

「子供の自主性を育む」と話題のモンテッソーリ・メソッドは、イタリアの女医マリア・モンテッソーリが生み出した教育プログラムです。かいつまんで言うと、子供の発達段階に着目し、目の前の子供がどんな発達段階にあって、どんな関わりを必要としているかに注力して個別の対応をする教育方法です。これは、一般的な教育現場で見られる、1つの教育法を全員に当てはめるスタイルとはまったく逆ですね。子供たちは画一的な教育プログラムではなく、一人一人の特性や生き方にあった教育プログラムを選択できるため、その結果、「自律した精神」「やりたいことの発見と追求」「柔軟な発想力と実行力」を育むことが可能なのです。

モンテッソーリ・メソッドの特徴は、「子供の自主性を最大限にサポートする」「生き方の基礎となる体験を提供する」「『敏感期』にもとづいた関わりをする」の3つからなります。家庭で「自分でする」子供を育てるには、子供が持ち物を自分で扱えるように工夫することが重要です。また、親子間では「褒める」よりも「共感」を重視することで、子供は自信を抱くようになります。また、モンテッソーリ教育の特色である「子供の家」では、年齢の異なる子供たちが一緒に過ごします。「子供の家」という環境を構成するのは、(1)教師(2)教具(3)自由時間(4)縦割りクラス(5)5つの領域のプログラムという5つの要素です。

モンテッソーリ教育の3つの基本とは?

モンテッソーリ教育の基本的な特徴は、大きく3つに分類されます。1つ目の特徴は、子供の自主性を最大限にサポートすることです。あくまで子供が自分でできるように「環境を整える」ことが重要であるという考え方が根幹にあります。具体的には、子供が使いやすいサイズの机や椅子、ハサミといった、子供が今必要としている道具を用意しておき、その道具は子供が望むときにすぐに使える場所に置いておくことです。あるいは、子供がもう少しでできそうな何かに取り組んでいるとき、手を出さずに見守ることも重要です。

2つ目の特徴は、生き方の基礎となる体験を提供することです。「モンテッソーリ子供の家」では、決まった内容を教えるわけではなく、「モンテッソーリ教具」や生活用具などに触れ、子供が自分で活動することによって、人生で必要となる能力を伸ばしていくことを主眼にしています。

3つ目の特徴は、敏感期にもとづいた関わりをすることです。敏感期とは、もともと生物学の用語。生物には成長の過程で「ある特定の機能」を成長させるために、「特別な感受性」を持つ時期があります。例えば、蝶の幼虫は卵から誕生してすぐ、木の枝の先まで移動して柔らかい葉にありつくことができる。なぜかというと、生まれたばかりの幼虫には、光に対する特別な感受性があるからだそうです。これをもとに、人間にも敏感期があるに違いないと考えたのがモンテッソーリでした。彼女が膨大な時間をかけた観察によって発見した代表的な4つの敏感期を紹介していきます。

「秩序の敏感期」(2〜3歳頃):小さな子供には、大人のように周囲の環境に対する知識がない。子供は適応するために、身の回りの物事を整理し、わかった順に秩序立てていきます。この時期の子供が安心するのは、いつも同じ結果になるとわかっている遊びや、同じ手順で出かける準備をすることです。ここで内面の秩序感がしっかり育てば、精神面で落ち着いた子供になるといいます。

「感覚の敏感期」(3〜6歳頃):この時期では、五感をはじめとした感覚が最も鋭敏になります。この期間に感覚器官をたくさん使って、その機能を洗練させればさせるほど、子供の世界が広がっていくのです。

「運動の敏感期」:生まれて4歳半頃までの子供は、絶え間なく体を動かして運動の仕方を学びます。ここで存分に体を動かした経験を積んでいれば、将来「ここぞ」というときにしっかりエネルギッシュに行動できる大人になります。

「言語の敏感期」:言語の敏感期は、生まれてから6歳頃までと比較的長い期間続きます。誕生から2歳頃までは、人の声を本能的に聞き分け、無意識での言語学習を行います。2歳半から6歳頃までは、意識的に言葉を学習する期間にあたり、子供は人の話す言葉を繰り返し真似ることで語彙を増やしていきます。

「子供の家」を構成する5つの要素

モンテッソーリ教育の大きな特色である「子供の家」は、年齢の異なる子供たちが一緒に過ごす「子供たちによる、子供たちのための」場所です。「子供の家」を構成する5つの要素をそれぞれ順に見ていきましょう。

(1)教師:教師は子供が自分でできるように環境を整えながら、見守る存在と言えるでしょう。身支度や物の管理については、はじめは手を添えるなど最小限のお手伝いをすしますが、過干渉はしません。そして、ゆくゆくは子供がひとりでできるように導いていくのです。

(2)教具:「子供の家」には、モンテッソーリ・メソッドの考え方にそった教具が用意されている。教具には大きく5つの特徴があります。1つ目の教具の大きな特徴は「1つしかない」ことです。つまり、みんなが同じものを、同時に使うことができません。そのため、子供たちは時には待ったり譲ったりする必要があることを学んでいくのです。2つ目は、「子供サイズ」であること。教具は、子供の手の大きさに合わせたサイズや機能のあるものが用意されています。3つ目は、「1つの目的」のために作られていること。子供にとって、多機能なものは「雑音」が多すぎるため、モンテッソーリ教具は、刺激が1つに絞られていて、その他の刺激が排除されるような作り方がされているのです。4つ目は、子供自身で「誤りに気がつく」こと。教具は、子供が自分自身で誤りに気がつくように設計されているため、教師の指摘によって子供の活動が中断されることはないのです。5つ目は、「美的」であること。教具そのものが美しく、子供の目に魅力的に映ることが重視されています。教具の多くは木製で、艷やかな美しい色で塗られています。子供が本来の目的に集中できるよう、色は最低限必要な数だけ使われている点も特徴です(ミッフィーの絵本みたいですね)。

(3)自由時間:あるモンテッソーリ教育の幼稚園では、子供たちが登園する午前9時頃から昼食までの時間を「自由時間」としています。午後はみんなで集まり、集団で教具に触れたり、文化的な活動をします。ということは、「子供の家」で過ごす時間の大半は自由時間になるわけです。自由時間では、1つの活動を深めて、自分なりに探求でき、さまざまな活動に触れて自分の世界を広げることも可能です。その中から好きなことや苦手なことなどを見つけていき、体験を積むことで、自分をより深く理解できるようになるという仕組みになっています。

(4)縦割りクラス:「子供の家」では、3〜6歳の子供が同じクラスで活動しています。年齢混合の縦割りクラスのよい点の1つは、子供が「年下の友達」をサポートするようになることです。兄弟姉妹のいない子供にとって、小さな子の世話というのは新たな社会的経験なのです。自分よりも年少の子と接して、相手の気持ちを汲み取り、相手に合わせたお手伝いをすることで、思いやりを育んでいけます。

(5)5つの領域のプログラム:モンテッソーリ教育では、子供の敏感期に対応した5つの領域のプログラムが用意されています。

1つ目の領域は、「日常生活の練習」です。このプログラムでは、日常生活に必要な「動作」や「身だしなみ」を繰り返し練習し、自然な体の動きを身につけていきます。

2つ目の領域は、「感覚」です。3〜6歳の「感覚を洗練させるための敏感期」を迎えた子供たちは、自分の感覚を頼りに世界を理解しようとします。この時期の子供たちは、感覚教具を用いた体験によって、「色」や「大きさ」などの抽象的な概念を理解していくのです。

3つ目の領域は、「」です。感覚教具で抽象的なことへの理解を進めてきた子供たちには、教師がよい頃合いを見計らい「数の教具」を紹介していきます。数という抽象概念も、感覚を使って、教具に触れることが理解への近道になるのです。

4つ目の領域は、「言語」です。ここでは、2歳半から6歳頃までの、意識的に言葉を学習する期間に働きかけます。このプログラムは、「書く」「読む」「文法」の順に提供されます。文字を書こうと意味のない線をただ書きなぐっても、「書いている」ことに変わりはません。しかし、「読める」というのは「読んで意味が理解できる」ということであり、「書く」ことよりも高度です。そのため、「読む」活動は自ずと「書く」活動より後に提供されます。

5つ目の領域は、「文化」です。文化の領域では、科学をテーマとした活動が中心であり、これまでの4領域での積み重ねが文化の活動につながっていきます。必然的に活動の対象年齢は年長児が中心になりますが、大切なことはすべての事象は独立して起こっているものではなく、関連性があるということを、子供たちに意識的に伝えることが主眼になります。子供は文化の領域の活動を通して、人間は単独で存在しているのではなく、周りの自然や環境と調和して生かされていることを知っていくのです

親子の関わり方、2つのポイント

以上で、モンテッソーリ教育の3つの基本、「子供の家」を構成する5つの要素について順に見てきました。最後に、親子の家庭での関わり方について、モンテッソーリ教育における2つのポイントをご紹介して締めくくります。

1つ目のポイントは、「自分でする子供を育てる」です。幼児期には、子供の持ち物が最初の手がかりです。物を自分で操る感覚は、自分で物事を主体的に動かしていく点で重要と言えそうです。したがって、子供の持ち物はかわいいデザインかどうかより、「わが子が自分で使えるか」という視点で選びましょう。また、子供が使うものについては、子供用のサイズであっても、なるべく大人が使うものと同じ素材のものを用意します。たとえば、ガラスや陶磁器のコップなら、「壊れやすいから注意して使おう」と伝えればよいのです。

2つ目のポイントは、モンテッソーリ・メソッドが求める親子間でのコミュニケーションについてです。子供が何かをやり遂げたときは、大人目線で「褒める」より、子供の気持ちに「共感」するとよいというのが、モンテッソーリ流。子供の達成感に共感することは、「あなたが頑張っているのをいつも応援していますよ」というメッセージを送ることと同じです。子供がこのメッセージをしっかりと受け止めたとき、子供の内側に自信が芽生えていくのです。

この他にも、親子の関係についても重要なポイントが満載です。
・「環境に心を配る」(環境を整え、間接的に子どもを導くことが重要)
・「子どもの仕事を尊重する、質問したり、中断したりしない」(大人の一方的な都合で、子どもの仕事を中断したり妨げたりしないよう心がける)
・「子どもの間違いを直接的に訂正しない」(子どものプライドを尊重し、子ども自身に気づかせるようにする。また、間違わないように仕向けることもしない)など……

子どもをよく観察して必要な環境を整え、自主性を尊重し対応する「モンテッソーリ教育」は育児のポイントが満載と言えるでしょう。「弟子・藤井聡太の学び方」、おもちゃ「キュボロ」と併せて子育て・幼児教育のヒントにしていただけましたら幸いです。ちなみに、本書「子供の才能を伸ばす最高の方法 モンテッソーリ・メソッド」はKindle unlimitedで無料でお読みになれます。

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この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

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