一味違った自分の考えを作るための!:『5日間で「自分の考え」をつくる本』齋藤孝

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現代はテクノロジーの発達で自由に発信できる時代になりました。つまり、「何かを見聞きしたら、何かを言える」ことがとても大切になりました。『5日間で「自分の考え」をつくる本』(齋藤孝、PHP研究所)は即物的なタイトルですが、即効性のある良書です。5日間で「自分の考え」をつくるプロセスは以下のとおりです。

1日目
ブログやSNS、ネット上に書評を書いて勘を養う
2日目
偉大な先人が生み出した思考パターンを学ぶ
3日目
生活習慣を見直すことで考える体をつくる
4日目
読書によって素養と話題を味方につける
5日目
満を持して意思決定に挑む

特に、1日目の「レビューの書き方」が参考になります。ネット上に文章を書くだけではなく、レポートや読書感想文にも役立つでしょう。文章を書くのは一見大変に思えますが、ゼロから1を生み出すことではありません。話題や論点といった対象があり、材料があるのです。したがって、8割は事実や情報などで固め、残り2割に自分の色をつけるだけでも、十分に自分の考えを示したことになります。良いレビューは、いわば社会貢献。読み手を新しい世界に誘うものです。吟味の材料の提供や、新たな見方の獲得を通じて、読み手の人生を豊かにするのです。

レビューを書く際には、個人的な好み、世の中の流行を追うだけではよいものになりません。「重要なのは、対象にどういうこだわりを持ち、どういう目線で語るかだ。その独特の”粘着力”や”偏愛”が、人を惹きつけるのである。」と齋藤孝氏が述べるとおり、ポジションをしっかりとり、自身の考え方・見方を明らかにして、きっぱりと書く必要があります。そのためには、焦点を絞ることが重要になります。焦点を絞るには、リスペクトできる部分を書くことが基本になります。もちろん、時には批判を書く必要もあるでしょう。どうしても批判したい場合は「この部分に関して言えば」「この作品だけ合わなかった」など限定して書くほうが良いです。「自分はこういう立場で、これに限定して話をしている」と書くのは古来からの常套手段です。作品の一部分だけ取り上げたり、特定の視点から評するのも、「限定×限定」になるためオリジナリティが増します。

2日目の「先人の思考パターン」は、どう違うか、共通点を見出すなど比較することや比喩、弁証法の使い方について、哲学の難しいことはわからなくてもわかるよう易しく解説しています。現象学的思考(思い込みを取り払う、レッテルを突き詰める、張り替える、アウトプットする)、システム思考(全体を俯瞰、準備・融通・フィードバック)といった応用編も、思考の幅を広げるのに役立つアドバイスが盛りだくさんです。一度作った自分の考え方を、さらなる思考でアップデートしていきましょう。

5日目の「意思決定」も重要な章です。考えたうえで、何をするかがあなたの人生を形作っていくからです。著者の齋藤孝氏は「大事な決断をする際には、紙にすべてを書き出す」そうです。書くことには、ネガティブ思考を洗い出し、ストレスを解消・緩和する効果も期待できます。人に話して論点整理をするのも一つの手です。仕事の際には、「当事者意識」が特に大切です。自分ごとのように物事を考え、「想定内」を増やしていき、「優先順位」をつけ、効率よく仕事をしていきましょう。会議にはちゃんと「データ」「視点」「アイデア」を持ち込むこと。いるだけでは会議に参加したことにはならないのです。

以上で、1、2、5日目を中心に重要な論点を振り返ってきました。齋藤孝さんは多作で有名なだけに、どれから読めばいいか迷いがちですよね。コストパフォーマンスでは、この『5日間で「自分の考え」をつくる本』が実践を伴うので、抜群だと思います。しかも、Kindle unlimitedでは無料ですしね。

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この記事を書いた人

・現役世代を元気にしたいとの思いで新ブログを立ち上げ!
・本は2000冊以上読破、エッセンスを還元いたします
・金融機関で営業・調査部隊双方を経験。
・バックグラウンドは歴史とMBA

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